われわれは時代よりもずっと長寿なのだ。
ー 中上哲夫「今夜、わたしは渋谷「千両」の節穴からわたしの世代の幻を見る」
ああ、時代よりも長く生きる、これ以上の不幸、これ以上の悲しみがあろうか?
詩人は別の詩にこう綴る
しかし死滅するのは季節の方ではなくていつもわたしたちの方だ(何故ならわたしたちとは季節とともに滅びる存在なのだから…)実に痛ましい経験だ一つの季節が死に行く姿を目撃することは……
一つの季節一つの時代が死に行く姿を目撃しなければならないほどの痛ましい経験が他にあるか。
ああ、それにしても、人間の精神とは「時代よりも長く生き」ることができるほど強靭で、そしてそれほどまでに愚鈍なのか・・・
60年代、ミック・ジャガーは叫んだ。
「ぼくらのいるところなんてどこにもないのだ!」
今70代のミックは何処にいる?
女王陛下から拝領した勲章は彼の豪邸のどの部屋にしまわれて(飾られて?)いる?
ミック・ジャガーは大金持ちの大スターになったけど、
彼は芭蕉にも、放哉にも、山頭火にもなれなかった。
「いるところ」をみつけてしまったから・・・
彼は芭蕉にも、放哉にも、山頭火にもなれなかった。
「いるところ」をみつけてしまったから・・・
永遠に居場所など無い方がいいのだ。
安住の地を見つけてしまえば、
ああ、時代よりも長く生きることになる・・・
こんにちは。
返信削除いいですねぇ。こういうの。
その前の写真もいいし、その前の「もってけ泥棒」も、とてもよかったなぁ。
こういう時、つまり、ブログの記事が『すごくいいなぁ』と思った時ですね。
かえって、コメントが書けなくなるんですよねぇ。
(と言っても、ここ以外でコメントなんてほとんど書いたことないですけど)
なんか、自分の言葉が、余計な気がしてくる。
でも、とにかく、どこまでが中上さんと言う方の言葉で、どこがTakeoさんの言葉かわからないけど、そういうこととは関係なく、こういう言葉に会えると嬉しくなりますねぇ。
「詩人」て素晴らしいなぁ。
と思いました。
ぼくは、楽器が出来る人を時々うらやましいなと思いますが、「詩人」も本当にうらやましいですね。
では、また。
こんばんは、ふたつさん。
削除Junkoさんからの問い合わせのメールにも書きましたが、今はまだ精神状態が不安定で、(塚田さんと話し、ふたつさん、Junkoさん、底彦さんがメンバーになってくれたにもかかわらず)自分の書いたものに自分自身がそれなりに満足しているのか、はっきりしないんです。もともと完璧主義のところがありますが、今はあまりそういう傾向を出さないように、気軽に書ければと思っています。
このように、率直に褒めて(?)もらえるととても励まされます。
中上さんとわたしの言葉の区別がつきにくいということは、わたし自身承知していました。
しかしそれを仮に「誤解」されたとしても、問題はないのです。
完全に中上さんの言葉は1行目、そして
しかし
死滅するのは
から
実に痛ましい経験だ
一つの季節が死に行く姿を目撃することは……
この部分です。どちらも彼の詩の中の言葉です。
あとの部分も、彼の詩集全体からインスパイアされたところが大きいので、
完全に彼の言葉ーわたしの言葉と分離することはできません。
タイトルはわたしがつけました(笑)
わたしはブコウスキーの詩集を借りるときに、ついでに訳者の中上さんの詩集を借りました。ブコウスキーはわたしにはあまりピンと来ませんでしたが、おまけで借りた中上さんの詩集の方により惹かれました。
◇
しかし
死滅するのは
季節の方ではなくて
いつもわたしたちの方だ
(何故ならわたしたちとは季節とともに滅びる存在なのだから…)
実に痛ましい経験だ
一つの季節が死に行く姿を目撃することは……
これはわたしはこう解釈します。
わたしたちは季節とともに滅びる(べき)存在だ。
しかしいつも季節はわたしたちを残して去って=滅んでゆく。
季節のない街で生き残っているわたしたちはすでに骸(むくろ)でしかない。
=死滅するのは 季節の方ではなくて いつもわたしたちの方だ。
ちょっと、無理やりの感じもありますが、読者が自由に解釈できるのが詩です。
いまのわたしにとっては、この詩はこのような意味を持ちます。
先の記事も気に入っていただけてよかった。
うれしいコメントをありがとうございました。