ま だ 読 ま ぬ 詩 お ほ し と 霜 に め ざ め け り ー田中祐明
まだ見ぬ詩こそが、わたしとっては「詩」なのだ。
「もっと詩を、もっと歌を、句を読んでみたい」と思いつつ、貪るようにではなく、
海辺でみつけた不思議な、奇れいな貝殻のように、
道端でふと目にとめた小さな野の花のように、
偶然によってめぐり逢う詩が、わたしにとっての詩なのだ。
だから出逢った詩の数は、一生のうちにジャムの壜ひとつ分くらいしかないかもしれない。
千百の詩を読むことよりも
「まだ読まぬ詩おほし・・・」と思える朝が、夜が、消えないことがだいじなのだ。
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