2020年2月18日

辺見庸担当編集者からの返答


昨日書いたふたつの投稿。「辺見庸と内田樹、王様は裸か?」と「経済に無知な者の想い、辺見庸との訣別…」を、前回同様、「毎日新聞出版」辺見庸『純粋な幸福』担当編集者宛てにメールで2通に分けて送った。もういいと思っていた。それなのに何故担当編集者宛てにわざわざメールを送ったのか?自分でもわからない。

内容はほぼそのまま。

一通目は冒頭の辺見庸の言葉以下の内田氏に言及した個所を省いて。

貴方はいつもカッコいい。冒頭の言葉にも惹かれます。けれども、テクノロジーに汚染浸蝕された社会に唾を吐きかける本を「アマゾンで予約受付中」とは。これがあなたの「反社!」(の限界)ですか?」もそっくりこの表現のままに。

二通目は、「日記」としてのブログではなく、相手のあるメールなので、「です・ます調」に改めた。怒り、失望を表わすものであっても、伝えたいのは気持ちであって、相手に不快な思いをさせる不作法で投げやりな口調でも構わないという法はない。それに相手は友人ではないのだ。また、丁寧語を使ったからと言って、怒りや失望の想いが薄らぐわけでもない。


そして、文末に最後に「これは辺見さんへの訣別状のつもりです。お返事は無用です」と書き添えて。



昨日の夕方、辺見庸担当編集者から電話をもらった。さすがに今回のこの二通のメールに対して、「返事はご無用」などと言われるまでもなく、誰が反応するかと思っていた。

担当編集者のMさんと30分ほど話した。

「たしかにあなたの言い分はもっともなのだが、それではゼロか100かになってしまわないか?」それがMさんの言い分だった。

その後、辺見さんのブログの話、マルクス、田原総一郎、ジャズメンたちの話を織り交ぜながら、わたしは主にMさんの話を聴いていた。

一昨日の夜、メールを送った後にあれこれと考えた。

わたしは本当に辺見庸と訣別できるのだろうか?

浜矩子さんの本だって、アマゾンで売られているのではないか?

厳密に考えて、アマゾンで商品を買うことの何が問題の本質なのか?



わたしはMさんに自分の書いたことが正しいなどとはまるで思ってはいないこと。昔から、「オール・オア・ナッシング」「0か100か」という思考/志向の持ち主であること。自分と辺見庸という人の考え方があまりによく似ているが故のアンビバレンスな感情。メールに書いたようなシステムの中でしか生きられない(ように思われる)今という時代を生きることの難しさを身にしみて感じている・・・というようなことを伝えた。

Mさんは、辺見庸という物書きの本を「売る」という「プラットフォーマー」(Mさんの表現)の立場から、わたしのあまりにもまっとうな(真っ当すぎる)疑問乃至憤りに返答せずにはいられなかった、と。

そして「決して「狂人」とは思わないですね。ただ、考え方、言ってることがあまりにもど真ん中ストライク過ぎて、今の世の中じゃ「狂人」になるんでしょうね。」とも。

Mさんのいわんとしていることは、前回同様、「辺見庸をも相対化せよ」ということかなと感じた。

「これからも辺見さんとは、愛憎相半ばする気持ちの揺れを繰り返しながら付き合っていくんでしょうね。」と答えた。

「これは辺見さんとの訣別のメールです」と書いて寄こした人間に対し、わざわざまたも電話をかけてきてくれたことに驚いている。
「それがあなたの「反社」の限界ですか?」「あまりに言っていることとやっていることが違いすぎませんか?」というわたしの文章を、「なんだか全然読みが浅すぎて・・・」とも「なんじゃこりゃ!?」とも思わなかったとも。

電話で話したのは30分ほどだが、これが差し向かいで時間を気にせずにということなら、わたしにもまだまだ言いたいことはあった。反論ではない。Mさんはわたしの言い分を「真っ当」だと思ったから電話をかけてきてくれた。「これは辺見さんへの絶縁状です」という言葉、「お返事はご無用です」という文句にもかかわらず。では、わたしと辺見庸、そして担当編集者のMさんとの「ズレ」は何に依るのか?そういうことを話したいと思った。多くの黒人ジャズ・ミュージシャンたちが、大手のレコード会社から自分のレコードを商品として売っていたことについて、メジャーとインディペンデントということについても、もっと話したいと思った。

Mさんへのメールは営業を通してMさんのところに回ってくるらしい。「毎日新聞出版」への「問い合わせ」窓口は一箇所しかない。
営業の人はMさんに「なんだか難しそうな哲学的なメールが来ましたけど、困りましたねえ」と言ったそうだ。だから、Mさんは、今度からは何かあったら、直接自分のアドレスに送ってほしい、ひまを見てメールを送りますから、と。

しかし、先月だったか、デイケアでバンドを作ろうと言っていたメンバー3人に、わたしのメイン・アドレスを送ったところ、誰一人まともに届かなかったということがあった。その前にもひとり、知り合いのメールがやはりどうしても届かないということもあってちょっと不安でもある。Mさんに別のアドレスも伝えておこうかしらん。

といって、「何かあったら直接メールを」といっても、「何か」ってなんだ?

「飲みに行きませんか?」といつか誘ってみようか。

意外に本気である・・・











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