2019年9月23日

憂鬱な秋…


八月の末にはもう

すすきの穂が山々に

銀髪をくしけづる (西脇順三郎)



しかし近所の小公園のすすきはことごとく根こそぎ引っこ抜かれた
もうあの小公園にすすきの穂がなびくことはない

紅葉の季節ともなれば、別の大きな公園では市に委託された業者たちが
地に落ちたそばから落ち葉を掃き清めてゆく
やかましい送風機で吹き寄せては
うつくしく色づいた病葉をゴミ袋の中に
ぎゅうぎゅうと押し込んでゆく
そう 道を清めてゆく
爆音を響かせて
子供が、お年寄りが、落ち葉を踏んで滑って転んで怪我をしないようにと

だからわたしはもう秋が好きではいられなくなった。




お母さん わたし感じるの

ごみ箱や堆肥のなかに

人間らしい気持ちにさせるものが

いってみれば神さまが

ごみ箱のなか 堆肥のなか じゃれてる猫

神さまはどんなところにだっているわ

そうでしょう お母さん



「お母さん ごみ箱の中に神さまが」

『スティーヴィー・スミス詩集』郷司眞佐代 訳(2008年)より






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