2020年1月26日

ひとをひと足らしめているもの・・・


昨日、最上階のデイケア室に行くためにエレベーターを待っていたら、下りてきたエレベーターから、大勢の入院患者たちが出てきた。ひとりひとりが沈黙を纏っていた。表情が消えていた。ひんやりとした冷気が彼ら/彼女らを包み込んでいた。

わたしは思った。「彼/彼女」の生とはいったいなんなのか?
そしてその問いは、直ちにわたし自身に対して向けられた・・・

いま、重いからだとぼんやりとした頭で考える。
世に弱き者たち、困っている人たちは、われわれ人間の愛情、やさしさ、親切、思い遣りという、尊い、ひとをひとたらしめている最も大切な情動を保ち続けるために存在しているのではないか、と。

このような考え方は、彼らにとっては非常に不本意かもしれない。

けれども「世に」(「身内に」ではない)困っている人、弱い人、寄る辺のない人、病んだ人たちがいなければ、──(動物でもいい、植物でもいい、朽ちかけた、壊れかけた物でもいい・・・)── ひとはいつ優しくなれるのか?ひとはいつ親切になれるのか?人はいつ誰かを抱きしめることができるのか?
そして人はいつまで人を思い遣るという感情を自らの裡に維持しつづけることができるだろう?
誰もが完全で、誰もが頑健な健常者であったなら、ひとはどのように「援ける・助ける」「手を差し伸べる」という感情と営為を持ち続けられるのか?

それらを引き出してくれる存在なくして、はたして人は「人」足り得るのか・・・







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