2018年8月23日

ストリーツ・オブ・ロンドン



「ストリーツ・オブ・ロンドン」ラルフ・マクテル(1969年)
〔オリジナル〕


同 シンニード・オコーナー


同 メリー・ホプキン(1971年)

「ストリーツ・オブ・ロンドン」ー元々は3曲目のメリー・ホプキンの『アース・ソング』というアルバムの中に入っていたバージョンで知りました。
図書館でCDを借り、カセットテープにダビングして、外出するときには、ウォークマンでよくこのアルバムを聴いていました。全体にこの曲のようなフォーキーで物静かな(物悲しい?)曲が多く、聴いていて落ち着くんです。

今のように外出困難になる前は、出かける時には必ずウォークマンを携帯して、何処へ行くにも音楽と一緒でした。
図書館でCDやカセットを手当たり次第に借りてきて、気に入ったものは録音する。
後にCD-Rが焼けるミニコンポを買ってからは、もう、借りては焼き、借りては焼き。今でも相当な枚数のCD-Rが(約500枚のCDの他に)クロゼットにしまわれています。

都内の図書館は、書籍・雑誌の相互貸借は可能ですが、「視聴覚資料」(カセット、CD、VHS、DVD)は、他の自治体所蔵のものを取り寄せてもらうことができませんので、聴きたいCD、観たいビデオがある図書館にわざわざ出向いていくのです。

わたしは10年前まで大田区に住んでいたのですが、当時CDやビデオ(DVDはまだありませんでした)を借りるため、お隣の品川区をはじめ、港区、目黒区、中央区、北区、文京区、荒川区等の図書館の貸し出しカードを作り、あちこちから借りていました。

今はウォークマンもミニコンポもいかれてしまったので、またどこかで「CDウォークマン」を求めなければなりません。
どうしたってわたしはipodというタイプではないし、スマートフォンというタイプでも、SNSというタイプでもありません。
そもそもパソコンを持っていること、インターネットをやっていること自体が不思議なくらいです。

わたしの行動基準はただ一つ。「みんながやっていることはやらない」
(やらない)の部分を「見ない」「聴かない」「読まない」「行かない」「持たない」「食べない」と入れ替えてもいいでしょう。
別に信念なんかじゃないんです。ただ人と同じが嫌いという、いってみれば「癖」みたいなものだと思っています。


「ストリーツ・オブ・ロンドン」はホームレスの歌です。

老いた男と女のホームレスの孤独を描写したのちに、サビの部分でこう歌います

So how can you tell me you're lonely
And say for you that the sun don't shine?
Let me take you by the hand and
Lead you through the streets of London
Show you something to make you change your mind.

どうして淋しいなんていうの?
どうしてあなたに太陽は輝かないって。
手を貸して。ロンドンの街を一緒に歩きましょう。
あなたの気持ちが晴れるものを見に行きましょう。
(意訳)

ペトラ・クラークの『ダウン・タウン』と似ていますね。



2、3年前でしょうか、ふとメリー・ホプキンのこの曲を思い出して、You Tubeで探してみました。これほど有名な曲だとは思わなかったので、いろんなミュージシャンがカバーしているのに驚きました。(といってもみな英国のミュージシャンたちですが)その時見つけたシンニード・オコーナー(アイリッシュ)のバージョンが気に入って、早速タンブラーに投稿したら、すぐさまアメリカの友人からメッセージが届いて、「やっぱりラルフ・マクテルだよ!」と。
彼はわたしと同世代ですが、海外のアート好きの友人たちと話していると、「古いから知らない」というエクスキューズを聞いたことがありません。二十代くらいでも、当たり前に彼ら、彼女らのグランマ、グランパの時代の音楽、映画、アクター、アクトレスについてほんとうによく知っている。世代を超えて、いいものが受け継がれていることに改めて感心します。「タイムレス」という言葉を実感します。「古いか新しいか」ではなく、あくまでも「よい作品」か「駄作か」が基準なんだと。
そして「いま・ここ」にはない歌や映画は、自分で見つけてくるしかない。そのためにはセンスが必要です。いいものを見極める審美眼が。それは「古い」「新しい」あるいは「むかし」か「いま」かを尺度にしている限り、決して身につくことはありません。



大昔のCMに、こんなコピーがありました。

「音楽はイメージを増大させる魔法だ。旅にはいい音楽を連れて行きたい」
多分カー・ステレオのコマーシャルだったと思います。

今わたしの手を取ってくれるのは、やはり「(時代を超えた)いい音楽」でしょう。










4 件のコメント:

  1. シンニード・オコーナー、がいいですね。メリー・ホプキンも。
    Nicoさんの住まいの近くの公園で、読書なんかしたら、私もシンニード・オコーナーの心がより一層、解かるのでしょうね。
    ラルフ・マクテルはちょっと地味なのでは?

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    1. こんばんは。

      それぞれに違ったアレンジでその時の気分に因るでしょうね。
      シンニード・オコーナーはちょっと神秘的で荘厳な雰囲気ですね。

      後の二人はシンプルにギターの弾き語りという感じです。
      おそらく二人ともこの歌を録音した当時は20代でしょう。
      もっと年を重ねて味のある歌声も聴きたいですね。

      中年の方がオリジナル当時のバージョンよりも深みがあるということがよくありますね。

      緑陰の読書はいいですが東京では無理です。軽井沢とかじゃないと(苦笑)

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    2. 再度、聴いてみました。聴き直してみました。

      若いころ、パット・ブーンの声が好きで“砂に書いたラブレター”とかいう曲をよく聞きましたが、それは幻想的な声と云う感じでした。ラルフ・マクテルは比較すると、やさしい声と云う感じが強くあります。やさしさで歌い上げていると云った感じです。

      シンニード・オコーナーは、心の奥底を表現しようとしているような感じです。

      メリー・ホプキンは他の二人に比べて明るく感じますが、それがこの歌詞に一番適切なように思いました。

      ただ、歌詞から離れて聴けば、シンニード・オコーナーの“深層心理”に惹かれます。



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    3. パット・ブーン。いいですねぇ『砂に書いたラブレター』古き良き時代のポピュラー・ソング。

      ラルフ・マクテルはソングライターで、これはフォークソングですから、やはりごくシンプルなアレンジになってますね。ストリングスなどは用いない。
      所謂「弾き語り」です。

      >シンニード・オコーナーは、心の奥底を表現しようとしているような感じです

      ああ、そんな感じはしますね^^

      メリー・ホプキンの声はどちらかというと幼い感じがしますね。
      確かにその明るさが「希望」になっているという気もします。

      なかなか興味深い分析ですね。

      共感するところ多しです^^

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