2018年8月18日

ホットなナンバー空に溶けてった


今月の5日、わたしの誕生日に(笑)TOKYO FMで村上春樹の番組が放送されました。
お聴きになった方いらっしゃいますか。

村上RADIO こちらに詳しい番組の内容が掲載されています。

わたしは昔から何をやっても使い物になりませんでしたが、中学の時からひとつだけ、やりたい仕事、というのがありました。それはラジオのディスクジョッキー。
といっても当時、1970年代後半、毎晩深夜に聴いていたラジオ番組のようなものは向いていないと感じていました。
原稿なしのフリートークというのが苦手だし、人を笑わせるのは得意でしたが、それは、コメディアン的な意味ではなく、どちらかというと、太宰治の小説を読んで思わずプッと笑ってしまう、というような感じでした。だから、「このクラスでおもしろい人」というとわたしの名前が挙がりますが、それは必ずしも「クラスの人気者」と同じ意味ではないという、なんとも微妙な位置でした。

日本はアメリカのように、ローカル・ステーション(その地方のラジオ局)というのが無数にあるというところではありませんし、大学時代、マスコミ業界に入るために血眼になっている同級生たちを見ていると、そういう世界を求めているわけじゃないんだよな、と、どうしても彼らの中に飛び込んでゆく気になれませんでした。



音楽は大体なんでも聴きますが、昔から「おとなしめ」のものが好きでした。言い換えれば優等生的というか、女々しい系というか、タイクツというか。

今に至ってもロックというものになかなか馴染めません。
好きなミュージシャンといえば、例えばフランク・シナトラ、ナット・キング・コール、
ビリー・ホリデー、ドリス・デイ等のスタンダード・ソングス、1950年代~70年代頃までのリズム&ブルース、(ソウル)、そしてドゥー・ワップ。

クラシックも、主にバロック以前の音楽は聴きますが、クラシックのCDなどについて能書きというか薀蓄を垂れている奴(実際に出会ったことはありませんが)や、ブログなどをみると「ケッ!」となります。
「クラシック」「ジャズ」「絵画」「文学」については、やはりわたしも日本人なのでしょうか、どうしても「お勉強」というイメージがつきまといます。

今回村上春樹が選んだような曲は、大きく分けるとポピュラー・ソングで、こういうのをたくさん知っている人って、憧れます。

優等生には反感しかありませんけれど、「不良」にはアンビバレントな感情があります。
先日辺見庸のブログで、トム・ウェイツとデヴィッド・ボウイについてちょっと触れていましたが、70代の彼がそういう名前を挙げることはカッコいいなと感じました。
クラシックを語るスノッブな爺はいくらもいるけれど。



番組の中で村上春樹はこう言っています

「僕はジョギングするときにいつもiPodで音楽を聴いていますが、一台に1000~2000曲入っていて、それを7台ぐらい持ってます。今日はそのラインナップの中から、何曲かお聴かせしたいと思います。」

音楽でも本でも、ネットで見つけたとモノというのはやっぱり軽いんです。

わたしが中学校の頃は、ラジオで聴いて、それを録音して何度も何度も聴きました。
レコードもそんなに持っていないけど、繰り返し聴く。
情報は同じ音楽好きの友人たちでした。

そして、つい10年位前までは、しょっちゅう渋谷や新宿の中古レコードショップに足を運んでいました。まだYou Tubeなんてなかった頃。本も音楽も自分の足で渉猟していました。

今70前後のひとの選曲が信用できるのは、彼らがそんな風にして音楽を自分のなかに蓄えていったという実績があるからです。

わたしはあくまで「オールド・ファッションド」です。



30代の頃、NHK-FMでリスナー参加番組があり、それに3回出演したことがあります。持ち時間は15分、台本も選曲もトークも自分でやります。生放送ではありませんでしたが。
15分間、基本的にはしゃべりたいことをしゃべって好きな音楽をかける。もちろんNHKですから全国に流れます。それが好評だったことは自慢話めくし、過去の栄光のようで悲しくもあるので触れませんが、いまでも30分くらいの番組ならそこそこのものは出来ると思います。
You Tubeやネットの助けをまったく借りずとも。



Barry White - You're My First My Last My Everything

バリー・ホワイト
「ユーアー・マイ・ファースト・マイ・ラスト・マイ・エヴリシング」(1974年)

高校時代放送部でした。昼の時間に自分で作ったスクリプト(台本)を読みながら「お昼の放送」を流していました。これもその当時かけたお気に入りの一曲です。




村上春樹が番組の中でビーチ・ボーイズの「サーフィンUSA」をかけていたので、
こちらはベンチャーズ。「10番街の殺人」。NHKのラジオに出た時にこの曲を選曲したのですが、その時のゲストが偶然にも『青春デンデケデケデケ』の作家、芦原すなおさんでした。



最後は、村上春樹のラジオではじめて知った、ザ・ラモーンズのジョーイ・ラモーンの
「この素晴らしき世界」もちろんオリジナルは、「サッチモ」こと、ルイ・アームストロングです。
こういうシンプルで、破壊的(?)なロックは結構好きです。


村上春樹は番組のラストでこう言っています

最後になりますが、僕の好きな言葉を一つ引用させてください。
スライ&ザ・ファミリー・ストーンのスライ・ストーンがこんなことを言いました。
「僕はみんなのために音楽をつくるんだ。誰にでも、馬鹿にでもわかる音楽をつくりたい。そうすれば、誰ももう馬鹿ではなくなるから」
いい言葉ですよね。僕はすごく好きです。それでは今日はここまで。またそのうちにお目にかかれるといいですね。
さようなら。」


わたしはテレビも、そしてラジオも持っていないので、村上春樹の放送は聴いていませんが、全10曲。大人の選曲ですね。
なんだかわたしの持っている500枚のCD、100枚のLPが勿体なく感じられてきました。
宝の持ち腐れというやつでしょうか。

最後に、叶わぬ夢ではありましたが、32歳の時にはじめてNHKでラジオ放送を体験したときに、ホストのピーター・バラカン氏が、わたしがサインを求めて差し出したCDのジャケットに書いてくれた言葉。

「本職のDJを目指せ!」




6 件のコメント:

  1. こんにちは、Blueさん。
    今月5日はお誕生日でしたね。遅くなりましたがおめでとうございます。

    今日は素敵な曲たちを放送してくれてありがとう。
    【You're My First My Last My Everything】は、タイトルがわりと真剣なのに、メロディーが軽快で、何度でも聴きたくなる曲ですね。1974年ということなので、わたしが生まれた年に発表された曲です。気に入りました。

    「10番街の殺人」もタイトルとメロディー・リズムとのミスマッチ(?)がおもしろいです。こういう音楽があると絶望の度合いが少し浅くなります。

    ドゥーワップはお好きですか。わたしからはこの曲を。【so much in love】。すぐに口ずさめるぐらいのシンプルさです。
    https://www.youtube.com/watch?v=yfpyaGXYizU
    最近テンションが低いので、このような、ほとんど楽器を使わない静かな歌ばかり聴いています。

    歌詞とメロディーのミスマッチといえばこの曲。【Wednesday Morning 3 A.M.】。メロディーも声も美しすぎて、聴き心地の良すぎる、実は犯罪者の歌です。
    https://www.youtube.com/watch?v=1K0eknfuix8

    まだ暑い日が続きそうなのでどうぞご自愛くださいませ。

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    1. こんばんは、瀬里香くん。久しぶりだね。

      東京は昨日、今日と比較的過ごしやすく、新聞に村上ラジオについてのコラムが載っていたので、ちょっといつもと違う感じの日記になりました。

      バリー・ホワイトの歌はノリがよくていいですよね。そうか、瀬里香くんが生れた年の歌か^^

      「10番街の殺人」は、もともとロジャース&ハマーシュタインがミュージカルのために書いた曲ですが、ベンチャーズがこのようにアレンジしました。1964年か5年の曲です。おそらくベンチャーズのベストソングでしょう。

      「絶望の度合いが少しでも浅くなる」といわれるととても嬉しいです^^

      「ソーマッチ・イン・ラブ」もちろんよく知っています。ザ・タイムス。

      サイモン&ガーファンクルの曲はどれも好きです。「水曜の朝午前3時」も好きな曲です。歌詞の内容はよく知りませんが、コミッテッド・クライム、とかブロークン・ザ・ロウ、という言葉は耳に入ってきます。酒屋を襲ったのでしょうか。

      今の状態ではラモーンズはちょっとノイジーでしたね。

      また気軽に立ち寄ってくださいね。

      コメントをありがとう。瀬里香くんもよい週末を^^

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  2. 村上RADIOからドナルドフェイゲンをグーグル検索してマディソンタイムの(というのでしょうか)ロックアンドソウルを聴きました。
    これを聴きながらなぜか照れくさくなってしまいました。曲全体のリズムが単純すぎるからでしょうか。音楽用語を知らないのでこんな表現しか出来ませんが。

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  3. 一足先に私のライバルが素敵なコメントしてますね。ちょっと言いにくくなってきましたが、続けます。最初のバリーホワイトの曲も、それから三番目の曲もやっぱりリズムが単調で聴いていて気恥ずかしくなってしまいました。でもベンチャーズは私の“青春”に入るので、懐かしいです。スプートニクス、だったかな?これもよく聴きましたね。

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  4. NicoさんのDJ.いいかも知れません。
    興味あります。

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    1. こんばんは、yy8さん。

      そうか、こういう曲はyy8さんには単調に聴こえるのか。やはり番組全体の選曲には幅を持たせないといけませんね。

      ラモーンズの「この素晴らしき世界」、こういう感じ、好きなんですけどね。
      今後もご愛聴下さいませ(笑)

      音楽好きのためのブログにしようと思います(笑)

      コメントありがとうございました。いい週末を!

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