2018年10月8日

極個人的な問題


世に言う80:50問題は、必ずしも「引きこもり」に限ったことではない。
そして一般にいう80:50問題とは、80×2(両親):50(子供)×1のことを言っているのだろうか?
うちの場合は80×1(母):50×2(わたし+弟)である。(言い方を換えれば80:100問題である)

繰り返し書いているように、わたしの状態は悪くなる一方だ。ということは、相対的に母の負担が増すことになる。「生きる意味の喪失」による心身の状態の悪化にともなう、「何もできない」ー「出来ていたことができない状態」と、現実の、母の心身の負担増。
このジレンマが、わたしの更なるストレスになる。

弟は統合失調症で障害者手帖2級を所持している。発病してから既に20年くらいになるだろうか。
医者に行くくらいしか外に出ることはない。わたし同様、友だちもひとりもいない。
しかしわたしとの最大の違いは、わたしは無駄と知りつつも、障害者福祉課や保健所の保健師と話したり、社会福祉協議会にボランティアの話し相手を探してもらったり、『いのちの電話』の相談員に話し相手になってもらったり、その他にも、何かしら悪足掻きを未だに続けている。けれども弟はだたひたすらに「ツマラナイ」「何もやることがない」と母につきまとうだけ。
医者を替えることも、薬を替えることもしない。

わたしは、わたし自身と弟が、双方で母の負担になっているということが、たまらなく苦しい。わたしと弟は、主にわたしが苦手意識を持っているので、じっくりと話したことがない。

弟がどうしても変われないのなら50×2-1(わたし)ということを絶えず考えている。
(でなければ、わたしが弟の分もカバーできるのか、ということを)

役所や統合失調症の家族会に相談もしている。
けれども、これは家族の問題ではなく、「母と弟の問題」ということになってしまっている。

母は、わたしが外に出られないからということで、昨日もわたしの書いた長い手紙を持参して主治医のところに行ってくれた。
けれども弟のことに関してはわたしの話を聴こうとはしない。
また自分から役所の福祉課や家族会に相談するということもない。どころか、わたしが保健師や家族会と面談するようにセッティングしても土壇場で取りやめてしまう。



「あらゆる罪を犯した。父親となる罪だけは除いて」とかつてエミール・シオランは言った。

わたしから見ると母は、「母となった罪」を死ぬまで贖おうとしているように見える。
そして、わたしもそうだが、この国の社会福祉制度や家族会の能力に何の期待もしていない。(例えば母は言う「金の切れ目が(この世との)縁の切れ目」だと)
それはわたし自身、25年間、あちらこちらの精神科(いくつものメンタル・クリニック、大学病院、総合病院の精神科、単科の精神科病院など)に通い続け、また様々な公的・私的機関に援助を求めても、殆ど何も得られなかったという経験から、間違いではないと思う。

「母となった罪」、具体的にはあの男性=わたしの父と結婚したこと、そしてわたしと弟という子供をもうけたこと、そしてその結果、既に10数年前に他界した祖母を含め、家族の誰ひとり幸せになれなかったことの責任を、一身に償おうとしているようにみえる。

わたしが死ねば、弟は少しは、「母の背負っているもの」について思いを致してくれるだろうか?
弟の病気は少しでも環境が変化すれば、ただもう「悪化する」だけなのだろうか?
その辺もわたしは何も知らないし、母も弟も、ただ「どうにもならない現状現実」を維持し続けている。

障害を持って、家族の世話になって暮らしている者は、大なり小なり様々な悩みや葛藤を抱えているものだろう。そしてその思いは、何かを契機に次第に「自分さえいなければ」という思いに集約されてゆく。

親は、親であるがゆえに、兄弟姉妹に対し、2人なら2等分、4人なら見事にパンを4等分、均等に分け与えなければならない。自分が何も口にしなくとも。
わたしはわたしのパンをせめて半分づつ母と分け合いたい。でなければわたしのパンを全てもらって欲しい。(それでやっと正確な意味で80:50になる)

母の「母となった罪」とわたしの「子になった罪」これは永遠に氷解することのない悲しみなのだろうか。そしてそういうことについて、弟はいったい何を思っているのか・・・

これは弟への非難ではない。わたしは彼の現実を、彼の病気を、何も知らないのだから。








4 件のコメント:

  1. nicoさんにはまだ土俵の徳俵が有りそうです。
    いまは、流れに身を任せ切っている状態ですが、その流れに逆らうにはやはり踏ん張り力が必要です。
    その踏ん張り力は、「母を思う心」に潜んでいます。
    多少の不快な事は乗り越えなければ!

    返信削除
    返信
    1. こんばんは、yy8さん。

      母のことを思えば、やはり自分がいない方が・・・という道筋に入り込んでいくようです。もうそんな単純な引き算しかできません。母自身、弟に変わって欲しいと思っているようには見えません。もちろん彼が自主的に何かをしたいと思うようになればそれが一番ですが、「もう大人」である弟に、「何も無理強いはできない」とれが母のわたしたちへのスタンスです。

      わたしはせめて、弟の気持ち、彼の内面を知りたいのです。

      コメントをどうもありがとうございます。

      削除
    2. 弟さんの内面を知ってもどうにもなりません。成る程と思うだけでしょう。
      それよりは、家の外に出てみて欲しいです。気分が悪くなってもいいから、外気を吸ってみて欲しいです。

      削除
    3. 今日は晴天ではありませんが、なんとなく落ち着いた感じの天気ですね。
      yy8さんの言われることもよくわかります。

      気遣ってくれてありがとうございます^^

      削除