2018年9月22日

嫌なものは嫌


昨年のこと。ふだんあまり出慣れないので、電車で二駅のクリニックに行くのに、余裕をもって出かけたつもりがぎりぎりだった。
駅に着いた時には、すでに予約時間の5分前だった。クリニックは駅から歩いて10分から15分。ちょっと遅れそうだ。
わたしは「今駅ですが、10分ほど遅れるかもしれません」という電話をクリニックに入れたかった。しかし電話が何処にも見当たらない。以前は駅前に2台ほど電話ボックスッがあったはずだが・・・

結局「10分ほど遅れます」ということを伝えるための電話を探すのに15分もかかってしまった。
こういう理不尽で、不条理な世界に生きることが、たまらなく嫌なのだ。

こうして現代人は疑うこともなく、導かれるままに隘路に入り込んでゆく。
そして隘路のアナロジーとして真っ先に思い浮かぶのはベルトコンベアーだ。

なるほどわたしの「抵抗」など所詮は徒労に過ぎない。しかし徒労と知りつつ、拘ることが、わたしには必要なのだ。

携帯電話やスマートフォンを持つ持たないに、いったいどこのだれが気が狂うほどにこだわるだろう。そんなことにいったいだれが命をかけるだろう。
しかしわたしはそうありたいのだ。真実や誇り、虚栄や意地のためではなく、ただ己一個の美意識のために・・・

徒労に賭さずして、なんのわたしの人生か。












2 件のコメント:

  1. >結局「10分ほど遅れます」ということを伝えるための電話を探すのに15分もかかってしまった。
    ははは!w

    特異な経験ですね~。
    でも、自分を守るためなら、
    電話を探す苦労と時間は引き受けなきゃしかたがない。

    >携帯電話やスマートフォンを持つ持たないに、いったいどこのだれが気が狂うほどにこだわるだろう。そんなことにいったいだれが命をかけるだろう。
    >しかしわたしはそうありたいのだ。真実や誇り、虚栄や意地のためではなく、ただ己一個の美意識のために・・・
    「あたしは君のメロディやその哲学や言葉全てを
    守る為なら少し位する苦労もいとわないのです」
    当時19歳の椎名林檎の歌詞です。

    僕はもちろん電話を持ち歩いてます。
    「私はあなたの意見には反対だ、だがあなたがそれを主張する権利は命をかけて守る」
    なんてことを、ヴォルテールが言ったとか、言わないとか。

    僕も、「みんな」から自分を守りたいです。
    椎名林檎的なカジュアルさ、ではありますが。
    そのための苦労と時間は、引き換えです。

    返信削除
    返信
    1. こんばんは、青梗菜さん。

      椎名林檎もヴォルテールも、守ろうとしているのは自分自身ではない「君」であり、「わたしのものではないある主義・思想・志操」ですね。

      わたしの根本はもっと単純で、こんなにしてまで生きる価値のある世界なのか?
      という永遠の疑問です。

      人のためにする苦労は、自分のためにする苦労よりも重くはないはずです。

      もしわたしにも「きみ」がいれば、15分間は遥かに軽いものになるでしょう。

      よい週末を!



      削除