2019年3月10日

ピーター・メイ / Peter May.


1952年生まれのドイツの画家、ピーター・メイの作品。
タイトルはSicherheit / Security. ー「安全」。この絵の場合は、安心、不安からの解放といった感じを受けます。

背中から抱きかかえる。
アル・パチーノ主演の映画、『フランキー・アンド・ジョニー』(1991年)で、刑務所から出てきたジョニーがまず行ったのが娼館でした。そこで、かれはセックスをしようとせずに、女に「スプーン・ポジションで頼む」とだけいいます。
ベッドに横たわり、少し背中を丸めるような恰好になる。その背中から女性が丁度スプーンですくうような形で彼に寄り添います。「重なる」という感じがぴったりです。

わたしのよく言う「HUG」とは正反対のかたちですが、ほんとうに独りぼっちで、孤独や不安を感じる時、背中から抱き締められたいという気持ちはよくわかります。

若い頃からから、とてもさびしく孤独なときに、背中から、真冬の凍てついた川の水に長時間浸した毛布を背中からそっと被せられるような感覚を幾度も味わってきました。だからこの映画を(わたしにしては珍しく)日比谷の映画館で観た時、わたしは26~7歳でしたが、スプーン・ポジションのシーンが強く印象に残りました。


「抱けば身にそう膝がしら」そう炭太祇は詠いました。
両腕で自分を抱きしめることはできる。けれども、腕は背中までは届かない。
誰かが要る・・・



Security, Peter May. Germany, born in 1952.
- Acrylic / mixed technique on press plate -












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