2019年3月2日

何もかもが美しかった時…


アーサー・ロスステイン(?)の撮った1930年代、コロラドのホテルのカウンター。
これが「本物」というやつでしょう。この電灯はどうやらガスランプのようです。
はあ~、とため息が出るばかり。下町の安ホテルかもしれませんが、使われているものは何もかもが本物・・・

Hotel du Paris, Georgetown, Colorado 1939, Arthur Rothstein


ヴィヴィアン・マイヤーのニューヨーク、ステイトン・アイランド。これはフェリーの待合室でしょうか?この木の椅子。むかしは駅の待合室と言えばどこもこんな木の椅子でした。子供の頃、わたしが小海線に乗って田舎に行く時の列車の座席もやはり木製の椅子で、床ももちろん木でした。
ああ、あの滑らかな手触り、あの飴色、あの艶、あの高級感・・・

Staten Island, NY, June 23, 1954, Vivian Maier


そしてこれは映画のスチル写真ですが、ジャン・ピエール・メルヴィルの1967年の作品『サムライ』。アラン・ドロンのかけている電話機のカッコよさ。
何もかもが決まっている。非の打ち所がない。

Le Samouraï (1967)


最後にこれも映画のワンシーンですが、2001年の『シャーロット・グレイ』という作品のようです。
わたしはこの映画を知りませんでしたが、この部屋の写真を視ただけで、もう、うっとりです。舞台は1930~40年代のドイツでしょうか。
このラジオ、このランプ、この椅子、この本箱、この時計・・・
今の若者は知っているでしょうか。木製品も、革製品も、匂いがするのだと。そして使い込めば使い込むほど「味わい」というものが滲み出てくるのだということを。

こう言うことは許されるでしょうか。ナチスの時代はこんなにも美しかった、と・・・

ヒトラーは「美」というものを政治的に利用した。彼のような強烈なカリスマを持った政治家が現れ、過激な復古主義を唱えた時に、わたしがそれに抗えるかどうか、まったく自信がありません。

そしてわたしは現代(現在)について、何も語るものを持ちません。


Charlotte Gray. (2001)


Mariage d'Amour - Paul de Senneville











0 件のコメント:

コメントを投稿