淋 し い か ら だ か ら 爪 が の び 出 す ー放哉
この句は西行の
捨て果てて身は無きものと思へども
雪の降る日は寒(さぶ)くこそあれ
花の咲く日は浮かれこそすれ
という歌と同じ状況を詠っている。
どんなに過酷な孤独の裡にあっても、どんなに世を厭うていても、躯からは爪がのび、ひげが生え、腹が減り、寒さに震え、花の頃には心も浮き立つ。
まるでこちらの懊悩や悲しみとはまったく無縁に、躯はそれ自体自律しているかのように見える。
同じく
の び て 来 る ひ げ が 冷 た い
も、凍てつく寒さの中でも芽を吹く木や花を思わせる。
こ っ そ り 蚊 が 刺 し て 行 っ た ひ っ そ り (放)
血の流れなくなった冷たい皮膚に蚊はとまらない。
死のうという間際、岸壁の際に立っても蚊に喰われた跡を無意識にかいている。
結局のところ、人間なんて、そんな愛(かな)しい滑稽な生き物なのだ。
この句は西行の
捨て果てて身は無きものと思へども
雪の降る日は寒(さぶ)くこそあれ
花の咲く日は浮かれこそすれ
という歌と同じ状況を詠っている。
どんなに過酷な孤独の裡にあっても、どんなに世を厭うていても、躯からは爪がのび、ひげが生え、腹が減り、寒さに震え、花の頃には心も浮き立つ。
まるでこちらの懊悩や悲しみとはまったく無縁に、躯はそれ自体自律しているかのように見える。
同じく
の び て 来 る ひ げ が 冷 た い
も、凍てつく寒さの中でも芽を吹く木や花を思わせる。
こ っ そ り 蚊 が 刺 し て 行 っ た ひ っ そ り (放)
血の流れなくなった冷たい皮膚に蚊はとまらない。
死のうという間際、岸壁の際に立っても蚊に喰われた跡を無意識にかいている。
結局のところ、人間なんて、そんな愛(かな)しい滑稽な生き物なのだ。
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