ひとびとは写真を撮る
まるでまだ世界にはうつくしいもののかけらが残っているかのように
秋に散ったたった一枚の色づいた落ち葉
路にころがっている一この団栗
わずかに世界に遺された美の欠片
そのいちまい、そのひとつぶを手に取るために
それを見るためだけに外へ出るべきなのだろうか?
自然は美しい それは
僕の 末期の目に
映るからである
と、芥川龍之介は書き遺した
けれどもわたしのこころを圧し潰すこの圧倒的な醜さは
なぜ扉を開いて外の世界へ足を踏み出すのか?
地に落ちた美の遺骨を拾い上げるために?
◇
世界の微かなうつくしさのみを針小棒大に語り、膨大なその醜さから目を背けるものをわたしは厭う・・・
◇
世界の微かなうつくしさのみを針小棒大に語り、膨大なその醜さから目を背けるものをわたしは厭う・・・
わが心を領したる鬼は
嗟嘆す
美しと見ゆるもの
そは すべて
豪奢と兇悪を
具えたりと
ー村山槐多
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