2022年1月15日

もうひとつの「イマジン」

 なんにもない なんにもない 

まったくなんにもない

うまれた うまれた なにがうまれた

ほしがひとつ くらいうちゅうに

うまれた

ほしには よるがあり

そして あさがおとずれた

なんにもないだいちに

ただかぜが ふいてた



これは園山俊二原作の『はじめ人間ギャートルズ』という、昔テレビで放映されていたアニメーションのエンディング・テーマだ。

16か17歳の頃、高校の世界史のノートの最後のページに、当時買ったジョン・レノンの「イマジン」のドーナツ盤の歌詞カードに書かれていた詞を鉛筆で書き写した。
彼の言葉に、メッセージに、こころから共感していた。

そして、この「ギャートルズ」のエンディング・テーマは、ジョンのイマジン以上に、いまのわたしのこころに深くふかく沁みわたる。
ひとりぼっちのへやで、この歌をなんべんもなんべんも、繰り返し、つぶやくようにうたってみる。
胸が熱くなり、あたたかい涙が流れてくる。

「神」や「国」、「文明」や「文化」という概念すらなく、「戦争」「平和」「善」「悪」「貧」「富」、そして「美」と「醜」、もちろん「飢え」も「心の病」も「差別」も「偏見」ない世界・・・劫初の光と風だけが、大地のうえをただしずかにながれている世界・・・


ナンニモナイダイチニ タダ カゼガ フイテタ・・・

これはわたしのもう一つの「イマジン」だ。



*2022年1月14日、「岩波ホール3月に閉館」の報に接した夜に記す









0 件のコメント:

コメントを投稿